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沖縄の大好きな中年オヤジですが、ブログで色々取り上げています。(笑)

またも起きたJALの操縦士飲酒問題(8月10日鹿児島発便)とその背景とは

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どうも理解出来ない飲酒問題がJALで続いています。今回は本日JALがプレス発表した

ようですが、今回はMSNから引用します。何度も飲酒トラブルが発生し、6月には欠航

すら出してしまったJAL。いったいどうしてしまったのか、非常に不思議に思います。

その辺に再度触れてみたいと思います。

 

【MSN 8月13日】

日本航空は、副操縦士が、搭乗直前に日本酒を飲んでいたことを明らかにした。日本航空によると8月10日、鹿児島発、羽田行きに搭乗予定だった副操縦士から、乗務前の検査でアルコールが検出されたという。この副操縦士は、前日の9日夜に日本酒を買って飲もうとしたが、会社の規定で飲酒を禁じられていることに気づき、その際は、飲まなかったという。


しかし、翌10日、搭乗直前に昼食をとる際、うっかりこの日本酒を飲んだという。
一方で、本人が申告している飲酒量と比べて、検出されたアルコールの値が高いため、日本航空は、事実関係をくわしく調べる方針。日本航空をめぐっては12日、御巣鷹山の墜落事故から34年となり、飲酒問題の撲滅を決意したばかりだった。

 

どうも変に感じます。大体、前日の夜になんで規定に気付き、飲酒をやめたような記述

になっているのか全然おかしいように思います。多分自分なら前日は飲酒しないように

すると思いますね。それに当日にうっかり日本酒を飲んだというのもまるっきり変で

す。飲んではいけないお酒が何故に昼食のテーブルにあったのか。また、本人の申告と

検出されたアルコールの濃度が合わないと言うのもかなりおかしい。多分、どこかに嘘

があると勘繰ってしまいます。

 

少し調べてみるとJALはこの7月に安全憲章と言うものを出したそうです。

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これがJALが出した安全憲章。社員全員に配布とあります。逆に言えば会社の思いとは

別の部分に気持ちがある操縦士がいると言うのが現実なのでしょう。残念ながら、そう

いうことなのだと思います。どうもそうなると会社の思いと多分、操縦士の現状と乖離

があるんじゃないか、そう思いました。そうでないとこれだけの飲酒問題が起きるわけ

がない。ともかく乗務の際のチェックで引っ掛かっているので、そこはなんとか防げて

いるとしても原因の奥が深いように感じます。調べてみるとNEWポストセブンの記事

でベテラン操縦士の談話が載っていましたので掲載します。

 

【NEWポストセブン 8月10日(抜粋)】

◆飲酒で疲労やストレスをまぎらわす
 元日本航空機長で、B747型ジャンボジェット飛行時間の世界記録を持つ航空評論家の杉江弘氏は、「パイロットの過酷な勤務体系」が背景にあると指摘する。


「現在は慢性的なパイロット不足のなかで空港の24時間化や路線増加が進み、パイロットの仕事がますます激務になっています。例えば国際線の欧州便や米国西海岸便は、以前は現地到着から2泊しましたが、現在は1泊のみ。半日に及ぶフライトで米国西海岸に朝10時に着陸したら、翌朝10時には日本に帰る便に搭乗しなければならない。この場合、米国に到着後3~4時間仮眠するとその夜は眠れなくなり、時差にも悩まされます

 また国内線の場合、飛行機が着陸してから次のフライトまでの時間は最短で25分。この間に副操縦士は次のフライトデータを打ち込んで機器の点検を行い、機長は外部点検を行い、時にはCAが担当する清掃やベルト直しを手伝います。そのうえで1日5回の離着陸というケースもあります」 こうした激務が構造的にアルコールを誘引するというのが杉江氏の見立てだ。


「自動操縦が進化したとはいえ、フライト中は計器確認や前方注意などで、パイロットは気を抜く暇がありません。しかも連続乗務による疲労が重なり、ストレス軽減や不眠解消のためアルコールに手を出すケースが多い。一昔前は海外渡航先でパイロットとCAが一緒に食事して、CAが『キャプテン、そろそろフライト12時間前だからお酒はやめましょう』と制止したものですが、いまは時間や気持ちにゆとりがないため単独行動が多くなり、グループの自浄作用が働きません」(杉江氏)


◆規制強化がパイロットを追い詰める
 2018年11月には、日本航空のロンドン発羽田行きに搭乗する男性副操縦士から、英国法が定める基準値の約10倍のアルコールが検出され、出発前に現地警察に逮捕された。副操縦士は「宿泊先のホテルでワイン2本のほか瓶ビール3本、缶ビール2本を飲んだ」と話した。 当地で開かれた裁判では、副操縦士の弁護人が、「被告人は家族や幼い子供たちと長期間離れる寂しさに加えて、不規則な就業時間のストレスから不眠症になり、ストレスと不眠症を飲酒で解決しようとした」などと述べた。


 もともとアルコールチェック体制が緩かった日本の航空業界には、欧米で定められているアルコール濃度の基準値が存在せず、安全性の確保は各社の裁量に委ねられてきた。だがロンドンの事件を機に一気にルールが厳しくなり、国交省パイロットのアルコール検査を義務化して、飲酒後8時間以内の飛行勤務を禁じた。各社も独自に規制を強化し、例えば日本航空は、滞在先については乗務前24時間以内の飲酒を禁じる。


 しかしこうした規制強化だけでは「パイロットのストレスを増す」と杉江氏は指摘する。「これでは運航宿泊先で食事をする際にビール1杯どころかアルコール1滴も飲めず、現場のパイロットはストレスで追い詰められます。オペレーションの現実からかけ離れたルールによって現場の士気は大きく下がっています。
 

いま日本航空全日空パイロットの一般的な年収は2000万円台ですが、中国や台湾の航空会社は4000万円ほど。現実的ではない飲酒規制に嫌気がさして、外資系に移るパイロットも増えている。そのためさらに操縦士が不足して、労働環境が悪化する悪循環が起こっています」(杉江氏)


 何よりも心配されるのは、過酷な労働環境がフライトに与える影響だ。2017年にハーバード大学公衆衛生大学院のチームが『Environmental Health』に発表した研究では、アンケートに協力した1848人の民間パイロットのうち233人(12.6%)が、うつ病(大うつ病性障害)の診断基準を満たす状態だった。また調査までの2週間に自殺を考えたことがあるとした回答者が4%に達した。「2015年3月に発生したドイツの格安航空会社・ジャーマンウイングス9525便の墜落事故では、うつ病の既往歴がある副操縦士がフライト中に故意に機体を墜落させて、乗客乗員150名が犠牲になりました。長年のトレーニングで鍛えられたパイロットも生身の人間であり、過度のストレスは精神的な問題を引き起こす怖れがあります。


 うつ病までいかなくても、過度のストレスは不慮の事故を招きます。実際に航空業界ではパイロットの飲酒による事故より、パイロットの疲労によって引き起こされる事故のほうが圧倒的に多い。各社は早急に操縦士の労働環境を見直すべきです」(杉江氏)
 なぜパイロットは搭乗前に大量の酒を飲んでしまうのか──この問いの背後には、飲酒以上のリスクが潜んでいるのだ。

 

読んでみてどうでしょうか。操縦士の数が足りず、また、労働環境も依然とは違って

厳しくなっている話は聞いていましたが、ここまでとは思っていませんでした。会社の

経営も厳しいでしょうし、それを解決しながら利益を出していかないといけませんが、

操縦士の労働環境がここまで悪化しているとは露知らずです。かなりハードでです。

だからと言って飲酒して操縦して良いわけではないですが、なんとなく背景にあるもの

がはっきり分かってきました。こんな環境では飲酒も出てきて、当然のように思いま

す。これは決して飲酒をしても良いと言う意味ではありません。背景が分かったと

言う意味です。JALだけではないですが、なんとか、抜本的な対策を立てないといけま

せん。会社のトップだけが踊っても末端のギャップが大きいままでは何も変わらないで

しょう。今回の飲酒の件は、そう言うことなんだと理解しました。