出典:NHK HPより
前の仕事柄からかガス爆発のニュースを目にすると、その内容を確認するくせが付いて
しまっています。今回の郡山市の事故の件もそうです。亡くなった方がいないと良いと
思いながらニュースを見ますが、今回もお亡くなりになった方が1名様いらっしゃいま
す。また、ケガ等をなさった方も18名いらっしゃいましたし、爆風で周囲の窓ガラス
が壊れる等の被害もありましたので心からお見舞い申し上げます。
しかし、今回も爆心だった建屋は、木造だったようで写真から見ると完全に全壊となっ
ています。こんなにガスの爆発は恐いのです。漏れたのはプロパンガス。ガスボンベで
の利用でしょうからLPGと言うやつです。千葉県で自然に出てくるメタンガスと違って
空気の1.5倍の比重であったので漏れた際も部屋の下の方から溜まっていたはずです。
それとLPGはガスに漏れ検知用に臭いを付けてあるので多分、かなりのガス臭い臭いが
したと思うのですが。これを今言ってもどうしようもないのですが、亡くなった方は
自然と電灯等のスイッチを入れてしまったのかも知れません。プロパンが空気と混ざ
り、空気中の濃度が2.1%~9.5%(ブタンは1.8%~8.4%)の範囲で燃えたり爆発したり
するのですもし、スイッチの位置がその爆発範囲の濃度になっていたと言うことでしょ
う。不運としか言いようがないですが。
そして非常の恐いのが空気とプロパンガスが一定割合で爆発した場合、爆轟(ばくご
う)と呼ばれる現象が起きるということです。イワシ博物館の場合も千葉県警の分析
では爆轟になっていたとされています。爆轟では爆速が何と毎秒1500メートル以上に
もなり、気体の圧力は数千気圧、温度も数千℃になるのです。今回の郡山市の場合は
調査結果が出ていないのではっきりしませんが、イワシ博物館の爆発では亡くなった
60代の女性の方は厚さ20㎝もある鉄筋コンクリート壁の下敷きになってなくなってい
るのです。こんな爆風が来たのではガラスも壊れてしまうのがご理解頂けると思いま
す。
もう少しだけガス爆発のお話をします。イワシ博物館の爆発現場に行ったのは千葉県
警からの依頼によるものです。人が一人お亡くなりになっていましたし、自分はガス
に関する知識は確かにありますが、爆発は専門家ではなかったので最初は現場確認を
お断りしました。それでも是非にと言うことで現場に行ったわけですが、余りにも
酷い状況で言葉が出ない感じです。当時中東で戦争をした時期なのでミサイル攻撃で
も受けたような惨状でした。
前にもここで書きましたが非常に驚いたのは爆心の資料室の20㎝を超える鉄筋コンク
リートの壁が吹き飛んで無くなっていたこと。そして、その場所に行ってすぐに気付い
たのが、ここで混合されたガスに火が付いた場所なんだということです。なんと残って
いた鉄筋コンクリートの壁に半円上のヒビが幾重にもなって付いていたのです。単
純に言えば同心円の半分より欠けたヒビが幾重にも。それを見たときは茫然として
しまいました。最後にもう1つだけ。博物館の開園前、9時前に爆発は起こったのです
が周囲に止めてあった車に機銃掃射のような跡がいくつも付いていました。ぞっとする
以外の何物でもないです。爆轟で吹き飛んだ固い物で車に穴が明いたのだと理解しまし
た。実際に被害に遭われた方が2名というのも奇跡に思えました。
こんな風に1度爆発が起きると非常に恐いガスですが、生活にとっては欠かせない便利
なものです。少しだけ注意をすれば普通は安全にご利用出来るものです。一般のご家庭
でご利用のガスには必ず臭い臭いが付いています。もちろん、ガス検知器も設置して
いるご家庭も多いと思います。臭いを感じたら即、換気扇を利用せず、窓を開けて換気
することです。電気製品のスイッチも火種になるので入れないことです。通気のために
窓を開けたら、ガス会社に電話かけても良いと思います。プロパンは空気より重いの
で、昔からのお話ではホウキで掃き出すなんて話もありました。
いずれにしても今回の郡山市のプロパンガス爆発も不幸な事柄も重なったように思いま
す。皆さんも是非、再度都市ガス会社やプロパンガス会社からのガスご利用の手引きの
内容を再確認して頂き、もし部屋の中でガス臭い臭いがしたら、具体的にどう動くかを
決めてほしいと思います。それが実際に大事なことですから。そしてご利用方法さえ
間違いなければ全然恐くないのが事実なので。