表記の件、今になってマスコミが嘘を付いたとか、専門家と言う連中が嘘を言っていた
等の話が随分出ているので、大学でそれを専門に習ってきた者として少しだけそれにつ
いて触れようと思います。多分ですが、資源開発系の学校を出た人たちも同じ感じでい
ると思うので。昭和55年、1980年に大学に入学し、専門で資源開発に関する専門知識
を4年間習ってきていた訳です。その中でも石油開発に関しても専門講座があり、主に
開発・生産に関することが多かった訳ですが、その中でも埋蔵量計算と言うのがありま
す。原始埋蔵量とか可採埋蔵量とか言った専門用語もありますが、単純には実際に取る
ことの出来る原油量をその当時の地球全体での原油消費量で割れば、今の消費量では
石油は後何年もつと言う計算になるわけです。その年数が当時1980年で概ね30年間と
言う数字になっていました。
そこの計算の中には今後増えるであろう埋蔵量の考慮や人間が使う消費量の考慮は余り
なかった感じがしていますが、30年間で無くなると計算値はよく覚えていました。当時
も石炭から石油にエネルギーが分かった過去からしても、そんな年数なんだろうとあく
までも「目安」のような数字だったと思っています。当時も中東の巨大油田は、その存
在感が非常に強く、今後は同様の油田は見つけることはかなり困難だろうとか、そんな
言われ方をしていました。そういう訳で当時の自分の感覚は原油の現状の埋蔵量は、
そんな感じで将来のことは、あまり分からないな、とか勝手に思っていました。
当時は天然ガスは原油を採取する際の邪魔者といった扱いで中東ではフレアと言って燃
やして処理していましたから。そう、価値のあまりない品物としての扱いだった訳で
す。それと原油の採取に関しては1次採取、2次採取と言った言葉があり、1次採取とは
地下の自然のエネルギーで原油の取れる割合であり、実際に採取可能な埋蔵量の確か
15%とか、そんな数字だった記憶があります。大昔の映画、ジャイアンツで櫓から黒い
原油が噴出して主人公のジェームス・ディーンがオイルまみれになるシーンが有名です
があんな感じで原油が採掘当初の地下のエネルギーで地上に出てきて取れるのが1次採
取。当時で確か可採埋蔵量の15~30%ほどだった記憶があります。非常に低い割合で
す。
単純に言えば、原油の貯まった容器から原油をいかに多く地上に出すかなので、最初に
自噴と言って噴水のように出てくる割合が、そんな程度。そして、圧力の下がった、そ
の地層にエネルギー等を与えて更に原油を採取するのが2次採取や3次採取、EOR(原
油増進回収)でその割合はせいぜい当時で50%程度だったように思います。もう、ここ
の部分も何十年も当時から経過していますから、そこの割合を回収率と言いますが、こ
の数字も変わっているかもしれません。
また、2006年になって新たに技術が進んで採取可能になったシェールオイル、シェール
ガスはかなりインパクトのある技術でした。なんせ今まで粘性が高くて取れないとされ
ていた原油とガスが取れるようになった訳で、井戸を途中から垂直でなく、水平で掘ってしまうというのも大きな驚きの1つになっています。そんなのでアメリカも元気に
なったのは間違いのないところです。フラクチャリングと言う水圧で地層を破砕して、
それで原油を取る訳ですが、今は地下水汚染等の懸念があり、米国の州によっては厳し
く制限されたりしています。まあ、地下の事は目に見えませんから。
そんなわけで、色々書きましたが、1980年当時で専門大学で習った原油の埋蔵量を
年間の消費量で割った年数が約30年。その後に年間原油消費量も増えましたが、それ
を補うだけの新しい原油も発見され、技術進歩によって取ることの出来る原油量の
割合も増えた、こんな感じが「原油が30年間で無くなるは嘘」の真実なんじゃないか
と今は思っています。まあ、今はそれほど騒いでいませんが、石油開発はビジネスと
して本当に儲かるので。
参考までにYoutubeで従来の石油採取と現在のシェールガス、シェールオイル採取の
違うが分かる動画を付けました。英語版でが字幕を英語から日本語翻訳で概ね、理解
出来ると思います。ご興味があれば。(約9分間動画)