地球環境が人間の生活活動で激変し、絶滅している生物が増えているお話もしましたが
今度は淡水にいる巨大生物絶滅のお話です。最初に説明しますが、今や人間の生活活動
の影響は恐竜が死滅した原因とされる地球への惑星衝突にも近いと言われています。そ
れだけ急激な環境変化をさせているんだと思います。今回はナショナルジオグラフィッ
クからのニュースです。
【ナショナルジオグラフィック 8月20日】
大相撲の力士並みに大きなエイや巨大ナマズ、巨大ガメに、巨大サンショウウオ。最新の研究によると、世界の淡水に暮らすこのような巨大生物の多くは、まもなく絶滅してしまうかもしれない。魚類、爬虫類から両生類、哺乳類まで、淡水の大型動物が世界的にどのぐらい減っているかを研究者らが調べた結果が、8月8日付けの学術誌「Global Change Biology」に発表された。世界的な減少を初めて数値化したというその内容は、非常に厳しいものだった。1970年以降のおよそ40年間で、体重30キロ以上の「淡水の巨人たち」の個体数は、世界中で90%近く減少した。これは、陸上または海の脊椎動物の2倍近い数字だ。
チョウザメ、サケ、大ナマズなどの巨大淡水魚は特に絶滅の恐れが高く、個体数は全体で94%も減少した。淡水の大型爬虫類と哺乳類の多くも、厳しい状況におかれている。中国のヨウスコウカワイルカは、おそらく人間によって絶滅に追い込まれた最初のイルカだ。体長6メートルを超えることもあるシナヘラチョウザメは、ここ10年ほど目撃されていない。ほかにも、ほとんどいなくなってしまった種がいるかもしれない。
「こうした大規模な危機は、一般にはあまり認識されていません」と話すのは、米ネバダ大学リノ校の魚類生物学者で、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーであるゼブ・ホーガン氏だ。同氏は、巨大淡水魚の窮状を20年にわたって研究している。
論文の著者の1人でもあるホーガン氏は、巨大魚たちが苦境にあるというこの報告は、世界中の川や湖が直面している環境の危機をはっきり示していると語る。「最も大きな動物たちが姿を消し始めるのは、すぐさま何らかの行動を起こし、川や湖の生態系の健全さを取り戻さなくてはならないという警告です」
今回の研究によると、淡水の大型動物の減少が激しかった生物地理区(生物の分布をもとにした地理区分)は、主にインドから東南アジアにかけての東洋区(99%)と、ヨーロッパ、北アフリカ、北アジアを含む旧北区(97%)だった。ホーガン氏によると、現在最も危機的な地域は東南アジアで、なかでも特にメコン川流域ではないかという。中国、ミャンマー、タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムを流れるメコン川には、1000種以上の魚が生息し、世界最大級のものも多い。例えば、2005年にタイ北部で293キロという巨大なメコンオオナマズが捕獲され、信頼できる記録の中では世界最大の淡水魚として話題になった。
ホーガン氏は、2015年以降、野生のメコンオオナマズを見ていないと話す。川に設けられたダムや、計画中のダムによって、メコンオオナマズは絶滅するかもしれない。こうした魚が消えることで生態系にどんな影響が及ぶのか、ホーガン氏ら研究者にも、はっきりとは分からない。しかしメコン川の場合、川沿いに暮らす数百万の人々の食料と生計を脅かしかねない。
全体的な見通しが厳しい中、今回の研究では、淡水の大型動物13種の個体数が安定している、または増えていることも判明した。その中には、米国のチョウザメ(ミドリチョウザメ)や、アメリカビーバーもいる。ヨーロッパでは、ヨーロッパビーバーが一度姿を消した多くの地域に戻ってきており、カンボジアでは、イラワジ川のイルカ(カワゴンドウ)の個体数が20年ぶりに増加した。
この10年、メコン川の漁具を撤去する取り組みが進み、個体数の伸びに一役買っている。淡水の生物保全の貴重な成功例だ。「破滅と絶望だけの状況ではないことを願っています」と、フー氏。「生物多様性の危機を広く知らせるだけでなく、大型淡水種の保護には希望もあると伝えたいのです。私たちにできることは、まだあるのだと」
今回の話題になったのは淡水の大型生物ですが、これは学者が言うように川や湖の生態
系が急激に悪化しているということです。こういった生態系の悪化に関して地球規模で
の対策はどこもしていないと思います。結局は自分で自分の首を絞めているわけですが
最悪は死なないと環境悪化に気付かないと言う危険性もあると言うことです。利潤追求
も大事ですが、生活のベースになっている環境が壊されていたら、何もなりません。
この点は世界的な活動として必要な保全だと至急気付くべきです。