今までここでも触れなかった自分のお仕事に関係したお話をします。千葉県で天然ガス
を採取するためには地下水をくみ上げないといけないので、それによって起こる地盤沈
下を防ぐために県や国と5年毎にその揚水量を決める協定が結ばれているのです。ここ
で言う地盤沈下は家が大きく傾くと言ったような不等沈下ではなく、ある程度の広域の
沈下の話になります。まあ、ここは普通の方には区別がつきにくいのですが、違うので
す。例えば、何メートルの範囲で地盤が窪んだと言った沈下は天然ガスの揚水によるも
のではないのです。まあ、それがあり得るのは、ほぼない話ですがガス井戸の地表面
近い位置でガス井のパイプに大きな穴が開いたとか、そんな場合かもです。まずは、そ
れはないお話です。
地盤沈下は昔の江東区辺りでのガスの生産でも何十センチとか地盤沈下が起きて、生産
中止になっていますし、船橋市でもそうです。船橋では昔、市が天然ガスの生産をして
いて、市街地での水中モーターポンプによる地下水の汲み上げで地番沈下が懸念されて
生産中止になっています。確かに市街地での地盤沈下は問題になるなら、それでやめた
のでしょう。そんなわけで千葉県の都市ガスの概ね3分の1は県産ガスですから、こん
な資源高騰の際には、千葉の方々は都市ガスの値段が安めなので、助かっているように
思います。
地盤沈下は千葉県がお金をかけて行う、水準測量によって計測されて1年間の沈下量が
前は2㎝を超えた地域に関して、生産制限をかけるような仕組みになっていました。
まあ、その際の地下水の揚水量が増えていなくても、そういう決まりなので原因がはっ
きりしなくても生産調整をしていたわけです。水準測量で言えば、大雑把な感じで精度
1cm程度は誤差の範囲。後から国が打ち上げた測地観測衛星「だいち」に搭載された
分散開口レーダ、SARと言う観測機器でも地盤変位が観測出来るようになっていました
し、今はだいちの次の測地衛星だいち2号によって全国の地盤変動も観測されている
はずですが、それが千葉県の地盤変動にどう生かされてるかは、自分は退職したために
分かっていません。でも人口衛星で測地って本当に凄いと思っています。
まあ、こんな感じですが、もともと千葉県は地盤の弱い地域なので地震もぬるぬる地震
、スロースリップと言うやつがたびたび起きています。震度として体感出来ない地震で
す。また、2011年の東日本大震災で相当日本列島が動き、房総半島自体が天然ガスに
よる地番沈下規制値2cmの何倍も動いちゃってますから、それが落ち着くまで正確な
地盤変動は計測出来ないんだろうと思っています。それはどうしようもない。ただ、
天然ガスの輸入に支障が起きた場合に、この首都圏に近い場所にある天然ガスをどう
いかすかは議論になるように思いますね。どう考えても資源の多くをほぼ輸入に頼って
る日本ですから、そこも真面目に考えないといけません。そんなことは今も自分の頭の
なかに、いつもあるんです。